別コラム掲載の「P2Pソフト Share 利用者を一斉逮捕」でお伝えしたように、著作権侵害にあたるファイルの配布は、従来から著作権法で禁止されていますが、2010年1月以降は、これに加えて、ダウンロードした側も取り締まるための「ダウンロード禁止法」が施行される事になりました。
文部科学省の公式資料は「著作権法の一部を改正する法律案」をご覧ください。ただし、プレゼン用のPDFと、条文そのままの引用というお粗末な説明だけなので、これで理解できる人はあまりいないでしょうね。
今回の改正著作権法の目玉は「著作権を侵害しているファイルやデータだと知っていながらダウンロードした場合、処罰の対象になる」という事です。法律上の罰則規定はないため、実際は書類送検のみで、民事賠償請求という段取りになるのでしょうが「前科」が付くという「社会的な重み」は計り知れません。
それでは、もう少し具体的に、一番解りやすそうな例として映画「ハリー・ポッター」シリーズで説明しておきましょう。
映画「ハリー・ポッター」がワーナーの著作物であることは解りますよね。いや誰が著作権を保有しているかどうかは知らないとしても、映画自体に著作権がある事は理解していなければなりません。「そんなのいちいち調べながら観ていないよ」と言う理屈は通用しませんよ。なぜなら著作権という物は、申請して得るものではなく、作品が公表された時点で自動的に発生するものだからです。文学や絵画、映画などの創造物すべてに、著作権が自動的に発生し、文学の場合は著者の没後50年、映画の場合なら公開から70年間が保護期間になっています。映画で著作権が切れている物は おおよそ 1940年以前の作品(大半がモノクロ映画)、つまり現状出回っているほとんどの映画が著作権対象だと思えばよいでしょう。
さて本題に戻って、映画「ハリー・ポッター」。さすがワーナーの看板映画(内容はともかく)だけあり、インターネット上で正規配信するケースはごく稀です。新作のリリースに合わせて旧作品を期間限定で有料ストリーミング配信する程度ですから、もしどこかの動画サイトで「ハリー・ポッター」シリーズを見かける事があれば要注意です。
ネットの掲示板を見ると「P2Pを取り締まるためとはいえ、通信内容の傍受はプライバシ侵害」だとか「ファイル名だけはダウンロードしたものが本物かどうかわからない」等、何ともご都合主義の持論を展開する猛者もいますが、冒頭に述べた通り、「ハリー・ポッター・・・」というタイトルのファイルをダウンロードする行為自体が違法になるという認識程度は持っていてもらいたいものです。